2017年8月15日火曜日

「純文学」に触れる

久しぶりに読書感想文でも書こうかと思います。今回は芥川賞受賞作の「影裏」です。何故この本を読もうかと思ったかというと、著者の沼田真佑さんの職業は塾講師、同業者として興味が湧いたといったところでしょうか。目的は「純文学に触れる」です()。舞台は岩手県、医薬品関連関係の会社に勤める男性が主人公です。元同僚の友人と釣りを通じて仲良くなったのですが、友人が転職したことによって疎遠になってしまいます。ここで仲良くなるというのは友情の枠を超えて・・・。「LGBT」も絡んでいます。東日本大震災を機に再び友人を知ることになり、それが友人像とはかなり違ったダークなものだったという内容になっています。日常生活と淡々と綴った平易な文章でしたが、非常に不思議な小説でした。岩手県の自然の美しさと釣りの醍醐味が多分に描かれ、終盤は東日本大震災の話に連なりますが、恥ずかしながら僕には一体何が書きたかったのかよくわかりませんでした。友人との「LGBT」がテーマなのか、謎かけやほのめかしなどの心理を突くような文体ではなくミステリータッチの雰囲気もない、ただただもやもや感が否めない小説でした。僕自身が純文学について勉強不足で、ほんの数冊芥川賞受賞作を読んで分かった気になるなよと言われそうですが、個人的には一塾講師がこんな綺麗な文章を書くのだと大満足でした。「純文学」は「芸術」と言われていますが、昔の受賞作品も読んでみようかと思います。

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